『Farcus』 RALLYE price : ¥2,415 release : Now On Sale
「楽園」の快適音
とりわけ耳に残るなメロディがあるわけではない。超絶技巧の演奏が聴けるわけでもない。ドラマティックな曲の展開すらない。ただただ「心地よい音」が流れていったり、繰り返されたり……。多重録音された生楽器の響きと抑え気味の電子音・エフェクト処理。なんかすっきりしない、疲れ気味の「脳ミソ」を「解放」させるには、最適の「楽園の音」かもしれない(たとえば、温泉に入って「フィ?」と伸びをしている気分に似ているかも……)。 rei harakamiさんの音楽を、もっと「音響」寄りにした感じともいえるかもしれない。
FANTASTIC PLASTIC MACHINE=田中知之は、ストリングスや女性コーラスを巧みに使った、ファンタジックでドリーミーなエレクトロニック・ミュージックが身上といえる。この4枚目のアルバムも「Reaching for the Stars」「Never Ever」などでそうした“田中印”の音が炸裂するのだが、全体としては前作までのラウンジ色やエンターテインメント色がやや後退し、シンプルな音作りになった印象だ。特に目立つのがギターの多用。シングル・ヒットの「Why Not?」はアコースティック・ギターをフィーチャーしたエレクトロニカ的アプローチだし、「Philosophy」などはアヴァンギャルドなノイズ・ギターとラップとがからみ合うエクスペリメンタルな曲だ。それらは、今の田中のパーソナルな音楽的興味がストレートに表れたものなのだろう。彼のポップ・センスと実験精神が、絶妙のバランス感覚で示された作品である。(小山 守)